2017年10月に当会の活動地、カーボデルガド州で始まったテロ攻撃が、2019年中盤から激化してきています。
カーボデルガド州には広大な天然資源と、推定500億ドルに相当する世界最大規模の天然ガス開発が行われ、日本企業を含めた先進国がこぞって参入してきています。
カーボデルガド州は過半数がイスラム教徒であり、失業率と非識字率が高く、モザンビークで最も貧しい地域です。大型開発の一方で、住民の暮らしは一向に上向きにならず、貧困に苦しむ人たちがあふれています。
そのような中、350人とも600人とも言われる死者を出し、10万人の避難者を出している、テロ攻撃。誰が、何のためにテロを行っているのかは、いまだ、明確になっていません。
現地でアル・シャバブ(ソマリアのイスラム過激派組織のアル・シャバブとは別組織)、またはアフル・スンナ・ウォル・ジャマとして知られる現地の過激派が端を発しているとも考えられており、サークル、モスク、およびコーラン学校からの募集によって拡大し、勢力を強めっていったと考えられています。
ISとの関連性については、2019年6月からは、ISがカーボデルガド州での一連の攻撃について主張しており、2020年1月のクイサンガ地区の村への攻撃において、ISCAP(IS中央アフリカ支部)の旗をもった写真がインターネットに公開されていますが、ISと地元の過激派との関係性は未だ明確になっていません。そして、複数の過激派グループが多層的に攻撃を行っている可能性も示唆されています。
カーボデルガド州では7から10のセル(部隊)がテロ攻撃を行っていると見られていますが、声明文も出されておらず、貧困な村の人たちを襲い、斬首し、誘拐し、家を焼くという、一連の、しかも激化する攻撃の目的は不明のまま。。。攻撃者の中には若者も多く、失業、貧困、貧富の差に対する怒りや若者特有の刺激を求める高ぶりから過激派に参入することもあります。
政府は、巨大なガス田開発に参入する先進国各国からの不満や悪評を恐れてか、情報規制を張っており、カーボデルガド州の外国人ジャーナリストも逮捕されています。そして、政府によるテロ攻撃の対応は、なしのつぶて。
貧困者が逃げ惑い、殺されていく一方で、政府からの後方支援はなく、外国に支援を求めています。
カーボデルガド州の農村地区はほぼ農民であり、テロ攻撃により農業を続けられないことにより、飢えの問題、そして住むところがないという問題もますます重くのしかかってきており、ペンバにおいても食糧が農村から入って来づらいため野菜などの価格が高騰しています。
1月末のテロ攻撃では、当会が設立当初から、協働しているビリビザ村も攻撃され、事務所も焼かれてしまいました。焼かれた一般民家は、800軒に登るとされています。
じわじわと、当会事務局のあるペンバにも、テログループが近づいてきていますが、ペンバには、テロ攻撃を受けた村からすでに、数万人の人たちが避難してきています。
テログループは公共施設も標的にしており、学校も焼かれているため、村では、3万人以上の子供たちが授業を受けることもできません。
真の草の根活動と、うたいながら、当会ではテロに立ち向かう術がない。。。できることといえば、政府の陰謀説も広がり、また過激派によるリクルート活動も活発になる中、テロに関する正確な情報を住民に伝えることと、平和教育や、防災教育を行うことです。
テロの被害者にも、加害者にもならぬように。
子供たちのキラキラした笑顔が止まないよう、現地で活動を続けていきます。